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2016年06月07日

委託・指定管理図書館の管理責任者を安い労働力に頼る傲慢ビジネス-図書館流通センター(TRC),紀伊國屋書店,丸善雄松堂の司書求人事例

 公共図書館や大学図書館と民間業者との間で、委託や指定管理者の契約が結ばれると、受託した業者は、図書館運営を任されることになり、社員スタッフが配属される。スタッフ全員が契約社員やパート・アルバイトなどの非正規雇用である場合が圧倒的に多く、リーダーといった現場の管理責任者ですら、1年契約更新の雇用形態が当たり前だったりする。
 現在、民間業者の受託状況を俯瞰すると、図書館流通センター(TRC)、紀伊國屋書店、丸善雄松堂が御三家となっており、他社がそれを追随する形になっている。民間企業だから、各社の経営・財務状況、人事制度、得意分野、過去の実績は様々であるが、給料などの待遇や福利厚生は似たり寄ったりである。
 今回は、こうした図書館業務の受託ビジネスと現場リーダーと呼ばれる、受託図書館での現場管理責任者の境遇について書いてみる。

1. 現場責任者の待遇の実態
 下記は、図書館流通センター(TRC)、紀伊國屋書店、丸善雄松堂のHPで募集されている、現場管理責任者(リーダー)求人の事例を簡単にまとめてみた。※各社HPの採用ページより一部抜粋 [2016.6.6現在]

【図書館流通センター(TRC)】
○首都圏内弊社受託館責任者
・管理職やチームリーダー経験者で、豊富な図書館勤務経験と高度な図書館サービススキルをお持ちの方。
・仕事内容は図書館業務全般ですが、スタッフマネジメントなども含めた責任者業務をお任せします。
・面談による合意の上、2017年3月31日までの期間を原則として更新可。以後、同様に1年間を基本とした契約で更新可。
・月給: 司書資格あり/220000円〜、司書資格なし/215000円〜。
・採用日から2ヶ月間の給与は、司書資格あり/時給1374円、司書資格なし/時給1344円。

【紀伊國屋書店】
○公共図書館の管理者大募集。都内にある公共図書館での管理者業務をお願いします。業務責任者、リーダーなどマネジメントできる方、経験を活かして、ステップアップやキャリアアップしたい方、あなたの目指す図書館を一緒に作りませんか!
・月給制社員への登用あり
・1年契約・更新可
・時給1100円から(経験役割で応相談)
・社会保険完備、交通費実費支給(上限1000円/日)

【丸善雄松堂】
○公共図書館マネジメントスタッフ、責任者。図書館業務全般、庶務業務、スタッフマネジメント等。
※試用期間後、契約社員昇格試験があります。
・月給18万円(試用期間中は時給1050円)
・交通費支給(上限20000円/月)

まあ、責任者の割には、非常にテンション、モチベーションが下がるショボイ内容で、賞与(ボーナス)、退職金の記載すらない。こんな求人に応募するのはNGだと思う。

2. 現場責任者の業務内容
実際に、どこの業者であれ、リーダーである現場責任者の業務内容は、ほぼ同じである。具体的には、次のようなものである。

・全ての業務の把握
・スタッフの勤怠管理、ローテーション作成、業務指示、指導・教育、相談受付
・欠員時の代理出勤
・委託元図書館への連絡、調整、折衝
・所属会社の営業担当者への業務報告、連絡
・定例会議への出席と業務報告
・報告書、各種資料作成
・スタッフミーティングの企画と進行
・現状の問題点の確認と改善
・会計処理
・緊急事項やトラブルへの対応
・仕様書以外の発生業務への対応と連絡
・新たなサービス向上のための考案や企画立案
・自己啓発のための勉強

3. 待ち受ける現実
 各業者や受託図書館の契約内容、事情にもよるが、上記業務の半分以上は、やると思った方がよい。もはや、自治体や国立大学の正職員と同レベルの業務内容だ。これを、単年契約の非正規雇用の立場で、人、物、金、情報の管理を統括し責任を負うだから、たまったものではない。業務上のトラブルも起きるだろうし、仕様書にない事も発生するだろう。スタッフのレベルも様々であり、一から指導しなくてはならない負担が生じることもある。また、短期間でスタッフの出入りが激しい現場もある。業務内容に全く見合っていない待遇なのだ。
 これを、時給だの、20万前後の給料でやらされるのだから、労働に対する意欲など高まらない。雇用形態や人件費を極限まで下げたステージからスタートさせ、丸善のように契約社員になるのですら昇格試験があるとは、バカげた話である。給料から社会保険料などが引かれるわけだから、手取りは15万〜20万辺りだろう。生活保護給付の水準に近い金額で責任者の仕事をさせられ、単年契約で常に解雇の不安もつきまとう。まさに、コスパが悪い求人そのものである。
 キャリアを積み上げても、正社員へのハードルは高く、「正社員登用あり」と掲げていても、それは会社の釣りである。大多数は、契約社員止まりが常である。昇給も20万円台前半までが関の山。ボーナスも退職金もない。

4. 利益率が低く、市場規模と将来性が厳しい業界
 問題の根は深い所にある。こうした、責任者ですら安いギャラで雇用しなければならないのは、書店や取次、図書館関連製品販売を商いとする市場の脆弱さと利益の薄さに根源がある。ビジネスとしての利益が低いため、会社の経営基盤も脆弱で小企業、零細企業ばかりだ。将来的な市場も先細りで、新たに発掘できる市場の余地がない。
 図書館の仕事を受託するのは、他に開拓できるビジネスがなく、これまでの付き合いを脈として参入しているだけの理由に過ぎない。とは言っても、図書館業務受託のビジネスも、落札額や指定管理料の限定された範囲でしか利益を出せず、プラスαとしての入館料を取ることができないわけだから、真のビジネスとは言えない。稼げない市場で競合他社と仕事を奪い合い、不完全なノウハウと人材不足の状態で受託し、最低ラインギリギリの人件費で最大の効果を出そうとする。これが現実である。
 飲食、流通、アパレル業界なども人材不足が深刻だが、人材確保のために時給アップや正社員化が進みつつある。図書館業界は、そうした動きは皆無である。そういう努力すらできない。

5. 責任者の待遇改善は至極当然。それができなければ、足を洗ってビジネスから撤退するべき。
 このように、生活基盤が成り立たないような給料で責任を押し付けられる仕事をすると、精神的にも、経済的にも、いつか限界が生じるだろう。委託や指定管理は1〜3年程度の契約が多く、更新ができない場合、次の仕事を確保できる保証はないし、会社が不測の事態に対処してくれるとは限らない。まさに、クビの皮一枚でつながっている。
 どこの民間業者も、人材を採用するだけで、テキトーで薄っぺらな内容の研修か、それすらせずに現場へ送り込む。そして、後はお任せしますよと放置しておくだけの、人を右から左へ流すだけで利益を得ている。そうなると、現場の責任者は、全てをコントロールしなくてはならない。これは、非常に酷な事だ。一刻も早い待遇改善が求められるし、それが無理なら、もう見向きもされないだろう。


posted by パピルス at 12:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | 委託・派遣・指定管理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月06日

公務員試験の論文試験問題

 地方公務員試験では、論文試験を課す自治体がほとんどですが、問題が公表されていません。そんな折、横浜市では、今年度から過去3年分に限り、論文試験の問題を公開しています。参考までに、以下、原文のまま引用します。

○横浜市職員採用試験(司書)の論文問題 [※横浜市採用HPから引用]

【平成27年度】
本市が2012年に発表した「横浜市将来人口推計」によると、人口のピークは2019年で、およそ373万6千人、高齢化率も増加し、人口ピーク時(2019年)で25.0%、2060年(参考値)では、35.3%以上になるとされています。高齢者の図書館利用の増加が見込まれる中で、これからの図書館や司書に求められる役割について、あなたの考えを具体的に述べ、それに対し、あなたは司書としてどのように取り組んでいきたいかを述べなさい。

【平成26年度】
インターネットが普及し、有料データベースや知識検索・辞書検索サイト、電子書籍等を利用することができるようになり、デジタル媒体の情報の入手が容易になりました。こうした状況の中で、これからの図書館や司書に求められる役割について、あなたの考えを具体的に述べ、それに対し、あなたは司書としてどのように取り組んでいきたいかを述べなさい。

【平成25年度】
読書活動の普及・啓発は公共図書館の重要な役割ですが、地域の読書活動が活発になるためには、市民と協働して取り組むことが必要です。 そこで、地域の読書活動を推進するために、あなたは司書としてどのように取り組んでいきたいか、具体的に述べなさい。

 どの問題も、最近の事情が反映されたものとなっています。上記の問題は、「図書館や司書に求められる役割について、あなたの考えを具体的に述べ」「どのように取り組んでいきたいかを述べなさい」と要求しているので、知識ではなく、自分の意見や考えを求めています。

 いきなり唐突に意見を述べるのではなく、前段階として、現状の問題点や課題の提示をするのも効果的だと思います。何らかの前置き的な内容を書いた上で、自分なりの考えや取り組み方を述べていく方法が書きやすいでしょう。

 正職員となれば、現状の課題を見つけ、それをどう改善していくかを考え、実践しなくてはなりません。問題文は、そうした基本的な資質が身に付いているかを試しているようにも見てとれます。

 公務員試験の論文は、誰も思い浮かばない発想やアイデアを書いてもらうことなど求めていません。文才や特殊な才能がある人を採用するコンクールではありません。ここを勘違いしてはいけません。これを意識してしまうと、プレッシャーに押しつぶされ、ペースを乱す落とし穴にはまります。ありきたりな事でも構わないので、文章として道筋を立て、相手が理解できるように簡潔に書くことが重要です。それが公務員として必要な資質です。

【情報源】横浜市採用HP


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【推薦図書】図書館員をめざす人へ / 後藤敏行著

タイトルの通り、図書館員をめざす人へ読んで頂きたい書籍が出ましたので、ご紹介します。

[タイトル] 図書館員をめざす人へ
[著者] 後藤敏行
[出版者] 勉誠出版
[発行年] 2016.4
[定価] 2,160円・税込

全体が、基礎編、実践編、これからの図書館員像の3部構成になっています。基礎編では、図書館の種類、仕事内容、トレンドな情報、資格取得方法、就職事情について、わかりやすく書かれています。コラム欄では、図書館員の待遇や人事異動について書かれているのが、貴重な情報です。

そして、本書で何と言っても読み応えがあるのは、実践編、これからの図書館員像編で書かれている、現役図書館員(司書)へのインタビューです。図書館の館種ごとに紹介されていて、これまでの経験、現在の仕事内容、業界の現状、今後のビジョンについてまで、詳細にインタビューされています。こうした情報は、ネットでは得られないものなので、これから図書館員を目指す方にとって、大変参考になる内容です。

また、後半部分の「求人の情報源」(p226)で、当ブログをご紹介して頂きました。この場をお借りしして、お礼申し上げます。



posted by パピルス at 08:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめ書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月05日

【推薦図書】図書館「超」活用術 : 最高の「知的空間」で、本物の思考力を身につける / 奥野宣之著

フリーライターで司書資格を持つ著者の奥野氏が、図書館の利点と活用法について、多角的な視点で書かれています。情報や知識の獲得手段がネット主流になった現代において、改めて図書館を利用する醍醐味を再確認できる内容です。あまり図書館へ行かない方でも、図書館通の方でも、読み応えがある一冊です。

[タイトル] 図書館「超」活用術 : 最高の「知的空間」で、本物の思考力を身につける
[著者] 奥野宣之著
[出版者] 朝日新聞出版
[発行年] 2016.3
[定価]1,404円・税込



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2016年06月04日

福島県新地町職員採用試験(司書) 平成28年7月24日(日)実施

福島県新地町が司書の採用試験を実施します。
○採用予定者数 若干名
○受験資格
・昭和56年4月2日〜平成7年4月1日までに生まれた方
・司書資格を有する方、または平成29年3月31日までに取得見込みの方
○受付期間 [郵送]平成28年5月26日(木)〜6月22日(水) 消印有効
○第一次試験日 平成28年7月24日(日)
【情報源】福島県新地町採用ホームページ


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2016年06月02日

東京都職員(2類・司書)採用試験 平成28年9月11日(日)実施

東京都が司書採用試験を実施します。
■2類・司書
○採用予定者数 1人
○受験資格
・平成3年4月2日から平成9年4月1日までに生まれた人
・司書資格を取得した人、または、平成29年3月31日までに取得見込みの人
○申込期間
・[インターネット]平成28年6月1日(水)10時〜8月10日(水)17時まで受信有効
・[郵送]平成28年6月1日(水)10時〜8月8日(月)まで消印有効
○第一次試験日 平成28年9月11日(日)
▼【情報源】東京都採用ホームページ(司書の試験区分は2類です)


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2016年06月01日

滋賀県米原市職員採用試験(司書) 平成28年7月24日(日)実施

米原市が司書採用試験を実施します。
■図書館司書・経験者
○採用予定者数 1人程度
○受験資格
・昭和56年4月2日以降に生まれた者
・司書資格を有する者
・図書館司書の職務経験が平成29年3月31日において通算3年以上ある者
○申込期間(郵送・持参) 平成28年6月6日(月)〜6月30(木)消印有効
○第一次試験日 平成28年7月24日(日)
【情報源】米原市採用ホームページ


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