丸善の大失態-図書館業務委託を受託したのに司書求人を集められない、ずさんなでお粗末な対応!

最近の図書館は、直接雇用を辞め、民間業者に委託や派遣という雇用形態で人材を確保する手法が一般的になりました。PFI指定管理者制度などが背景にありますし、コスト削減を目的とした経営判断の結果ともいえます。多くは、カウンターなどの閲覧業務、目録・分類作成などの整理業務など、業務を部分的に委託するケースが殆どです。中には、業務を全面委託する図書館もあります。しかし、問題が起こることもあります。

例えば、入札案件の落札後、委託側(図書館側)が要求するレベルの人材を受託側(落札した企業)が確保できない場合、図書館運営に支障をきたすという困難な事態になります。2013年4月、そうした事態が起きてしまいました。以下が、その件について書かれた新聞記事です。

---▼日本経済新聞 2013年4月25日より抜粋---


丸善が4カ月の取引停止 国立美術館の閲覧室運営辞退で

図書館の運営支援を手掛ける書店大手の丸善(本社・東京)が、東京・六本木の国立新美術館から受注した資料閲覧室の運営業務を開始直前に辞退し、同館を運営する独立行政法人国立美術館から、書籍購入などの取引を4カ月間停止されていたことが2013年3月25日に分かった。美術館側によると、契約は3年間。公募に応じた5社から丸善が約6470万円で落札したが、3月29日に「業務開始の4月1日までにスタッフの準備ができず、対応が困難」との理由で辞退の申し出があったという。

丸善経営管理部は、「ぎりぎりまで協議したが、美術館が求める図書館システムなどの習熟レベルとの隔たりを埋められなかった」としている。国立新美術館は、閲覧室を4月1日から21日まで休室したが、前年度の委託業者に一時的に運営を委託し、4月22日から再開。新設予定だった別館の閲覧室は、開室できずにいる。現在、新たに業者を公募している。丸善は、大学や公立の図書館などの運営支援を約150件手掛けている。

---ここまで---

これは、お粗末極まりないとしか言いようがありません。どうして入札に参加したのでしょうか?確実に人材を確保できる見通しがないのなら、受託するべきではありません。4か月の取引中止で済んでいますが、永久追放でもおかしくないでしょう。

この丸善のケース限らず、図書館業務委託を受託する企業は、運営ノウハウ、社員教育・研修、人材確保に関して、いい加減なのが実情です。とりあえず、最低限の業務が回れば良いというのが、企業側の本音なのです。そういう感覚で運営しているから、こうしたことが起こるわけです。

委託は、コスパや管理の面から利点があるのかもしれませんが、こうした難しい面も潜んでいるのです。丸善のように行政処分を受けているような企業は、この業界から退場させるべきですし、ブラック企業と言っても過言ではないでしょう。

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