図書館への採用条件として司書資格が必要な試験として、地方自治体の採用試験(地方公務員試験)があります。ちなみに、国立国会図書館や国立大学法人の場合は、その条件がなく、採用や採用後の昇進にも影響しません。また、各図書館や委託業務受託の民間業者の非正規採用の際にも、司書資格が求められることが多いです。当然、正規雇用でも非正規雇用でも、資格の価値は変わりません。だが、採用後の境遇は雲泥の差があります。自治体の正規職員として採用されれば、司書資格を取得した価値は十分にあります。だが、業者などに契約社員や派遣として採用されても、資格の価値が活かされることは、ほとんどないのです。
今回は、司書資格とは何ぞやと考えさせられる求人募集を見つけました。それは、図書館委託業務を受託している図書館流通センター(TRC)の求人です。まずは、下記求人を見て下さい。
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▼求人案件▼
東京都立中央図書館スタッフ募集<契約社員>
○応募資格 PC操作、接客できる方。司書資格あれば尚良し
○仕事内容 図書館業務全般
○勤務日数 土日祝含む週3~5日
○勤務時間 9:00~21:15のうち実働5~7.75時間 ※遅番勤務できる方
○時給/司書資格あり900円、司書資格なし890円
○契約期間 採用日~2ヶ月間。面談による合意の上、2016年3月31日までの期間を原則として更新可。以後同様に、1年間を基本とした契約で更新可
▽情報源はTRC求人募集ページより
東京都立中央図書館スタッフ募集<契約社員>
○応募資格 PC操作、接客できる方。司書資格あれば尚良し
○仕事内容 図書館業務全般
○勤務日数 土日祝含む週3~5日
○勤務時間 9:00~21:15のうち実働5~7.75時間 ※遅番勤務できる方
○時給/司書資格あり900円、司書資格なし890円
○契約期間 採用日~2ヶ月間。面談による合意の上、2016年3月31日までの期間を原則として更新可。以後同様に、1年間を基本とした契約で更新可
▽情報源はTRC求人募集ページより
時給に着目すると、司書ありが900円、なしが890円と書かれています。何と、司書資格の有無による時給差が、たった10円しかない何ともタチの悪い求人です。他の首都圏の受託図書館も同様の時給差です。資格があるなら、ない者よりは待遇(時給)的に多くすることは当然でしょう。しかし、プラス10円しか上がらないなんて、いくら何でもバカにしているとしか言えないだろう。これなら資格を持っている意味もないし、取る必要(価値)もない。司書取得するには、経済的にも時間的にも個人の負担であり、会社側は1円も出さずに人材を採用すればいいので、楽なものである。ご都合主義もいいとこだ。
取得には大学を卒業し、在学中に文部科学省令で定められた図書館に関する科目の単位を取得しなくてはなりません。在学中に取得できなければ、卒業後、通信制大学や講習で取得しなくてはなりません。
繰り返しになりますが、地方自治体に正規職員として採用されれば、司書資格を取得した価値は十分にあります。だが、今回のTRCの求人ならバカバカしいにも程がある。用途によって、これだけの格差が生じる現実がある。一生の仕事を獲得できるパスポートにもなれば、価値に見合わない劣勢を強いられることもある。今回の件に限らず、求職者は資格を活かせる価値のある仕事と価値のない仕事を冷静になって見極めなければならないのです。
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