近年の私立大学図書館は、司書資格を持つ専任職員を置かず、事務系職員が数年のローテーションで入れ替わる人事異動が主流となっており、正規職員としての図書館限定勤務が極めて難しい状況となっています。また、民間業者に一部の専門業務を委託したり、運営全般を全面委託する大学図書館もあるくらいです。
それ以外には、契約職員とか嘱託職員などの身分名称で採用し、3年~5年の期限で契約する方法を採っている私大もあります。当然、正規職員同様の職務内容で管理的な責任を担う職責となります。しかし、契約期限が来れば任期満了となる理不尽な契約内容となっています。
そして今回は、一例として、上智大学学術情報局図書館の求人を挙げてみました。求人内容の詳細は次の通りです。内容を精査すると、本来は正規職員がやるような業務内容で、いかにも割に合わない不愉快な内容です。
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上智大学学術情報図書館
○身分:非常勤嘱託職員
○雇用期間:2017年3月1日~
※年度毎の契約更新となります。契約更新については、勤務状況により判断します。雇用の上限は2022年2月28日となります。
○職務:図書館において、主にレファレンスサービス関連業務を行う
(1)レファレンスサービス業務
(2)データベース等の講習会の企画、実施
(3)デジタルサイネージ、ホームページ作成業務
(4)電子アーカイブシステム管理業務
(5)英文にて各種案内物の作成
○募集条件
・司書の資格を有する者
・大学図書館または公共図書館にてレファレンスサービス業務経験がある方
・国立情報学研究所、各種データベースの利用経験がある方
・WORD、EXCEL(初歩的なマクロ)、PowerPointが操作できる方
・HTMLの知識がある方
・英語での電話、窓口、メール対応ができる方
・講習会実施等、プレゼンテーションができる方
・柔軟性があり、幅広い業務に対応できる方
○勤務日:月曜日~金曜日
○勤務時間:9:00~17:00
○給与:月額235,100円
○通勤手当 ※住居手当、家族手当、賞与および退職金制度はありません。
○社会保険、雇用保険、労災保険に加入
【情報源】 上智大学HP
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正直、こんな地雷求人に応募する物好きな人などいるのでしょうか? (苦笑) 非常勤嘱託身分のくせに、高度な募集条件を出しています。時給ではなく月給ですが、社会保険料などの税金が引かれますから、20万を切ってしまうでしょう。さらに、住居手当、家族手当、賞与、退職金もないのは痛いです。
これは、専門業務を遂行できる専任職員がおらず、専門職を安くコキ使う常套手段です。契約制にしているのも、正規雇用にしたくない意図が見え見えです。仮に契約期間の5年間を頑張って勤務しても、5歳年をとって、また就職活動のやり直しです。何のメリットもないでしょう。正規雇用に昇格など、淡い期待はしない方がいいです。
なぜ、この事例を示したかというと、私立大学の嘱託・契約職員は、こうした条件のケースが多いと警告したいからです。これだけの業務をこなせるのに、こんなアホみたいな待遇でコキ使われて欲しくないのです。決して、努力の方向性を間違えないでください。
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