たまに、バイトの求人募集程度のことで、課題やテーマを設定した小論文や作文を提出させる面倒なものがあります。実は、こうした求人は注意する必要があります。今回は、そうした事例の求人が出ていたので、警告の意味も含め記事にしてみました。
その求人は、東京国立近代美術館と国立新美術館に併設されているアートライブラリーの事務補佐員(=アルバイト)の司書募集です。それぞれ、個別にHP上で募集をしています。小論文や作文のテーマも含めた内容の要点をまとめると以下の通りです。
【共通事項】
●雇用期間: 平成29年4月1日~平成30年3月31日(年度契約、最大5年まで更新することがある)
●勤務日数、時間: 週5日30時間(1日6時間)
【東京国立近代美術館】
●職務内容: 図書資料の整理および閲覧業務
●応募資格
・司書資格
・NACSIS-CAT(国立情報学研究所目録所在情報サービス)の経験者
●時給1030円~1250円
●小論文テーマ「美術館の中のライブラリに期待すること」(A4横書き1枚、800字程度)
※情報源は東京国立近代美術館HPより⇒http://www.momat.go.jp/ge/jobs/
【国立新美術館】
●職務内容: 閲覧業務に関するマネジメント(委託業者との調整を含む)、予約閲覧対応、美術資料に関する広報・普及業務。アーカイブズ資料の整理・保存・公開に関する業務。
●応募資格
次の(1)~(3)の条件に該当し、かつ(4)(5)いずれかの条件を満たす者
(1)大卒以上で、図書館・資料館等における閲覧業務の実務経験を有する。
(2)Word、Excel等を用いた基礎的なパソコン操作ができる。
(3)美術への関心がある。近現代美術史の知識があれば尚可。
(4)図書館司書有資格者で、図書館での継続的な実務経験を有する。図書館システムを用いた目録作成業務の実務経験(特にNACSIS-CATの経験)があれば尚可。
(5)アーカイブズ学専攻。もしくはアーカイブズ構築の実務経験を有する。
※TOEIC、英語検定、英語力の検定試験の受験経験者は、履歴書にその点数・級を明記。
●時給1240円
●作文「私の考える美術館の図書室の役割」(400~800字、A4サイズ、様式自由)
※情報源は国立新美術館HPより⇒http://www.nact.jp/recruitment/index.html
経験則や各方面からの情報をもとに言うならば、バイトであっても小論文や作文の提出を求める場合、採用後、それなりにハードな職務が待ち受けている事を覚悟しておくべきです。結果的には待遇に見合わない仕事をさせられたり、マネジメント的な要素を含む仕事を割り振られる恐れがあります。少なくとも、正職員の補佐をする程度のパターン化されたルーティンワークではないと思っておくべきです。
今回の求人も安っぽちい時給で1日の勤務が6時間まで。全然稼げない・・・(苦笑)。そして、最長5年でお払い箱。そんな、永続的に働けない身分の人間に作文で役割や期待することなんて書かせてどうすんの?
あと、言っちゃいけないんでしょけど、バイトに応募するために小論文や作文を書くモチベーションなんて、普通ないでしょ。たかがバイトの募集で、こんな面倒臭いことをさせるなってことです。これが、正規採用募集で書かせるならわかりますけどね。
特に国立新美術館の方は、職務内容も応募条件も時給1240円の内容じゃないだろう。これ、ブラック求人ですね。
この2つの機関は、図書系職員に限れば国立大学との人事異動や新規での採用がないので、実務に長けた専門職員が適正に配置されていないでしょう。バイトでも経験者などの即戦力人材が欲しいはずです。欲を言えば、マネジメントもできるような人。
ここに限らず、専門図書館は、どこも予算、人員、ノウハウが欠乏しているため、小規模な組織でも一人にかかる負担が大きくなりやすいです。大学図書館と同じに見てはいけません。任期がある非正規の身分で安い給料だと、割に合わないと思います。
雇用する側に翻弄されてはいけません。自分の培ったキャリアは、もっとまともな身分と待遇で働ける職場で活かしましょう。
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