東洋経済オンラインが、上場企業で働く非正社員の実態を調査した結果を公表しました。有価証券報告書に記載されるデータを用いて集計した、非正社員を多く雇用している会社の2016年末時点の最新ランキングです。非正社員の数の他にも、従業員に占める非正社員比率も記載されています。
▼東洋経済オンラインの記事
まず、ランクインされている業種が、外食、小売、流通といった定番業界が目立ちます。そしてランキングの中に、何と丸善と図書館流通センター(TRC)の共同持株会社である、丸善CHIホールディングスがありました。以下にデータを引用します。
●順位: 第76位
●非正社員数: 11119人 ⇒バイトの数
●従業員数: 1408人 ⇒正社員の数
●非正社員比率: 89% ⇒社員全体の非正社員の割合
特に注目したいのは、非正社員比率です。何と約9割がバイトです。この数字を見る限り、正社員をほとんど採用せず、バイトでまかなっていることを示すデータです。バイトから昇格して正社員になる事も極めて難しく、不安定で低賃金な身分の非正社員をフル活用して会社が動いているともいえます。もはや、非正社員がいないと成り立たないだけでなく、正社員も増やせない経営構造だということも透けて見えます。健全性などなく、ビジネスとして崩壊していると言えるでしょう。
ここだけでなく、書店や図書館関連業者は、どこもこうした会社ばかりでしょう。元々、利益率が極めて低い産業ですが、本離れによる売り上げ低下、アマゾンなどのネット通販の台頭、顧客先の自治体や大学の予算縮小、競争過多による入札価格の下落などの要因も重なり、厳しい市場となってしまいました。経営はかなり厳しいと言えます。新たな開拓市場も乏しく、電子書籍/雑誌もどうなるか未知数です。
一度こうした業界に不安定な雇用形態で入ってしまうと、そうした環境や立場から抜け出すのが困難です。現代社会の縮図です。どうしても図書館で働きたい若い方は、このデータを眼に焼きつけ、正規の公務員試験や国立大学の採用試験にパスできるように必至で努力してください。それが困難だと感じるなら、採用数が多い行政事務の公務員や成長性がある民間企業を目指すのもありでしょう。変化に柔軟に対応できる選択をするべきだと思います。
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