当ブログでは、これまで何度も責任者や高度な知識を持つ者を低待遇で募集している、ブラック求人を紹介してきた。今回もそうした類の内容だが、業者が公共図書館の指定管理業務を受託した際に募集する現場責任者は、低賃金でコキ使われるので、応募は辞めるべきであるという意味を込めて記事にしてみた。
今回紹介するのは、東京都中野区立図書館の指定管理業務における現場責任者求人で、ヴィアックス株式会社が受託し募集掲載しているものである。
今回は、研修期間の時給とその後の不明瞭な給与に焦点を当ててみた。募集要項の内容は、以下の通りである。
■中野区立図書館での図書館業務/司書(責任者クラス)
○雇用形態: 契約社員
○給与: 当社規定による
※研修期間勤務日は時給940円
○勤務時間: 8:30~21:15の間で1日実働8時間、週5日のシフト制(土日祝含)
※曜日、時間の固定は不可
○応募資格:
・公立図書館で3年以上の業務経験をお持ちの方
・組織やチーム(5名以上)を統卒する職務に就いたことのある方
・司書資格または司書補資格をお持ちの方
・PC操作に抵抗のない方
○具体的な業務
・カウンター業務(責任者クラスとしての、利用者対応業務を含む)
・館内外での事業(イベント)の企画、立案、実施
・責任者クラスとして、一般スタッフの育成、指導
・企画書、報告書等の作成および確認
※募集、掲載は終了。
一番驚いたのが、図書館の責任者なのに、時給940円というクソぶりである。ちなみに、東京都の最低賃金は、現時点で時給932円であるから、ほぼ底辺レベルだ。厳密に言えば、研修期間の時給金額だが、いくら研修期間とはいえ、時給940円は舐め過ぎだろう。応募資格にも書いてある通り、司書資格を持ち、公立図書館で3年以上の業務経験、組織やチーム(5名以上)を統卒する職務経験者という高いレベルを求めているわけで、何とも酷い求人である。
しかも、契約社員の非正規雇用でボーナスもない。安くコキ使おうとする、業者側のブラックな思惑が透けて見える。研修後の時給は、「当社規定による」と曖昧に濁して書いていないが、まあ期待薄とみていいだろう。時給なら1000円ちょいオーバー、月給なら手取り15万円前後だろう。
ついでに余計な事を言ってしまうと、自治体公共図書館や国立大学の正規職員も、この業務内容のような仕事をこなし、責任者としてマネジメントも含め業務に励んでいる。安定した身分と月給制、賞与あり、退職金あり、福利厚生も充実し、研修も豊富である。
経験則から言えば、公共図書館や国立大学の正規職員も受託業者の非正規雇用の責任者も、責任や業務内容は大して変わらない。でも、待遇や雇用の継続性に大きな格差がある。残念だが、これが現実である。
当ブログが日々、自治体などの正規雇用求人を紹介し、試験情報などを提供し続けているのは、そうした恵まれた環境で長く働いてもらいたいからである。残酷な現実だが、民間業者の社員になっても、こうした不安定な雇用形態で低待遇の元、責任の重いマネジメント業務を任されてしまう。
こんな求人に応募して勤務するなら、もっと楽な求人を探し、場合によっては、副業等をしていくことも選択肢として考えてみていいのではないか。もちろん、自治体や国立大学に正規採用されれば、最も理想である。業者の現場責任者の仕事は、精神的に病んでしまう可能性があるので、全くおすすめできない。
この記事へのコメント