今回は、当ブログの管理人当てに届いた一通のメールを題材にしたい。投稿者ご本人が、匿名と勤務先の非公表を条件に民間委託図書館の非正規雇用で働く実態をお話したいと打診された。特に給与実態と独身で家賃を払い一人暮らしをしていく厳しさを伝えて欲しいと強調された。そして、やりとりする上で信憑性があると判断し記事にすることにした。色々と考えさせられるテーマなので一読頂ければと思う。
投稿された方のプロフィールは以下の通りである。
○40歳女性(1979年/昭和54年生まれ)
○独身
○大卒(地方の国立大学)
○東北地方出身
○東京23区内在住
○独身
○大卒(地方の国立大学)
○東北地方出身
○東京23区内在住
○司書歴17年(国立大学図書館、民間委託の公共図書館などで勤務し、全て任期制の非正規雇用)
○現在、民間受託会社の契約社員として、委託契約されている都内区立図書館に勤務
○資格は司書、司書教諭、教員免許(中高の国語)
投稿者様が現在勤務する公共図書館は民間委託されていて、本人も含め全員が受託会社の非正規雇用契約で働いているそうだ。今回は、給与実態と厳しい生活実態を暴露され、厳しい現実を情報公開することで、司書を目指す(されている)若い方の為に今後の進路選択の参考にして欲しいとのことだ。
雇用形態、業務内容、時給、給与明細(2019年12月のもの)、生活費は以下の通りだそうだ。
○図書館委託業務受託会社の契約社員
○業務内容は閲覧業務全般
○週5日シフト制勤務
○実働7時間
○時給1,100円
○各種社会保険、有給休暇、交通費支給
※各種手当て、賞与、退職金なし
◆給与明細書
【2019年12月分】
・時給1,100円×7時間=7,700円
・勤務日数19日
・勤務日数19日
【支給】
7,700円×19日
・給与 146,300円
・交通費 5,360円
・給与 146,300円
・交通費 5,360円
○合計 151,660円
【控除】
・健康保険料 非公表
・厚生年金料 非公表
・雇用保険料 非公表
・所得税 非公表
・健康保険料 非公表
・厚生年金料 非公表
・雇用保険料 非公表
・所得税 非公表
○合計 29,259円
※合計金額のみ公表
【実支給額】
○合計 122,401円
◆主な生活費
・家賃 55,000円(固定)
・食費 40,000円※
・光熱費 8,000円※
・通信費 10,000円※
※月平均金額で月により変動あり
○合計 113,000円
これを見て聞いて、この給料で家賃払って東京での一人暮らしは正直キツイと思った。1日フルタイム7時間勤務、月20日間勤務しても154,000円。そこから、社会保険や税金などの控除で29,000円前後引かれるわけだから、手取りは120,000円前後なってしまう。ボーナス、各種手当もなし。家賃だけでなく、食費、光熱費、通信料(スマホ・ネット)、その他諸々の経費や出費もあるし、貯金などできないだろう。余暇に趣味・娯楽を楽しむ余裕さえない。時給制の場合、勤務日数が少なくなる12月~1月の年末年始、5月のゴールデンウィーク、8月のお盆は死活問題にすらなりえる。まさに貧困との戦いとなってしまう。今回のコロナウイルスによる休館で影響がなければ良いが・・・。
貯蓄もなくギリギリの生活を続け、もしも、病気や怪我などしたら、破産の状況に追い込まれてしまう。若いうちは何とかなるかもしれないが、年を取れば体力的にも無理をできなくなってしまう。今以上に経済的に困窮する恐れもある。好きな仕事とか、やりがいのある仕事で片付けることは簡単だが、現実は厳しい。
人それぞれ、生き方や価値観、事情や境遇、立場など様々だが、いずれにしても先立つものは金である。地方出身者が上京して生きていくには、ある程度余裕を持って生活していける相応の収入が見込めなければならない。東京には地方と比較して職自体は多くあるが、図書館の仕事となれば事情は違う。結局のところ、数あれど時給の非正規の求人ばかりが実情であり、安定した生活と明るい未来は望めない。帰れる実家があり、少々給料が安くても地元に求人があるなら、そちらで生活した方がゆとりがあるケースもあるだろう。
非正規雇用で働く人々は、限られた契約期間を低賃金な条件で契約し働き続けなくてはならない。キャリア形成も難しく年齢だけを重ねていく宿命だ。こうした厳しい現実の中を生きながら働いている図書館職員は多い。しかし、状況によっては考え直さないといけないと思う。
読み手にとって様々な感想を抱いたと思う。ただ、今回は投稿者様の現状や人生について、とやかく言うつもりはない。非正規で働き続ける事が、いかにリスクが高い人生なのかを知ることで冷静に考えるきっかけになると思う。雇用形態に関する図書館業界の構造が大きく歪んでおり、正規の公務員や国立大学職員に採用されるしか道がないのが実情だ。
非正規で働く図書館業界の人で迷路にハマリやすい特徴として以下があるように感じる。
・目標や目的を考えず惰性で仕事をしている
・純粋で真面目一直線
・周囲の意見や助言を聞き入れない
・業務外の事までボランティア精神で慈善的にやってしまう
・やりがい依存症、症候群
・業務外の事までボランティア精神で慈善的にやってしまう
・やりがい依存症、症候群
・委託請負、派遣の負の側面を理解していない
・お金よりもやりがい
・情報弱者
人生は選択の連続だ。成功もあれば失敗もある。何事も常に冷静に現状把握と将来ビジョンを見据えて考えることが重要だと思う。
そして、投稿者様に対し、こうした活きた情報を提供して頂けたことにお礼を申し上げたい。そして、今後の人生が明るい方向に向かう事を願っております。
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