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2016年12月14日

キャリアパワー(株)のバカげた図書館司書求人◆英語,独語,仏語,露語,中国語の目録作成が時給1200円で交通費なし

今回は、派遣会社「キャリアパワー」のブラック派遣求人について記事を書いてみました。京都大学図書館に派遣され、洋書および中国書の目録作成(NACSIS-CAT)をする仕事です。派遣契約のため、雇用主はキャリアパワーで、業務指示は京大の図書館職員がすることになります。

実はこの求人、1ヶ月以上も前から、ホームページ、求人サイトの「Indeed」や「リクナビ派遣」に、毎週1回程度の頻度で更新掲載され続けていますが、未だに人材が集まらないようです。それもそのはず、求人内容を見ると、その理由が納得できます。

以下に求人内容の要点を原文のまま転記します。なお、勤務先図書館が、「京都にある有名国立大学図書館」と伏せて記載されていますが、明らかに京都大学ですので、実名で書きます。
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◆京都にある有名国立大学図書館
・京阪鴨東線出町柳駅徒歩15分、市バス百万遍、京大正門前徒歩5分
●雇用形態: 派遣
●給与: 1200円 ※交通費別途支給なし
●仕事内容: 目録作成業務。寄贈図書のうち、洋書(英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語)または、中国書をお願いされる予定。スキルによっては英語のみ。可能であれば、ドイツ語、フランス語の図書もお願いされます(経験をお持ちであればロシア語の図書もお願いされます)。洋書の場合、中国語もできれば中国語もお願いされます。英語:51%、フランス語:21%、ドイツ語:14%、その他14%→1日で平均21冊の目録作成を行います。

ブランクがある方や、大学でのお仕事が初めての方も、「本が大好き」な気持ちを、今度は国立大学図書館のお仕事で新たな形にしてみませんか?国立大学ならではの蔵書にも、触れることが出来るかもしれませんね♪ライブリアンとしての新たなキャリアアップが図れるチャンスです☆

●スキル、経験
・NACSIS-CATによる目録作成経験者。
・洋書目録入力(主に英語、ドイツ語、フランス語もできることが望ましい)が出来る方、または、中国書目録ができる方。
●期間: 長期
●開始日: 即日〜3月31日迄 ※期間限定
●勤務曜日: 月/火/水/木/金
●勤務時間: 9:00〜16:00(休憩1時間、実働6時間)
●アピール: 期間限定!資格やスキルをフルにいかして、国立大学図書館でお仕事してみませんか?通勤時、大学へ続く落ち着いた雰囲気の道中は木々が沢山あり、行き帰りにリフレッシュが出来ると人気ですよ♪まずはお気軽にエントリーをおまちしています☆

▼情報源
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求人内容は以上の通りです。まずは、

>>ブランクがある方や、大学でのお仕事が初めての方も、「本が大好き」な気持ちを、今度は国立大学図書館のお仕事で新たな形にしてみませんか?国立大学ならではの蔵書にも、触れることが出来るかもしれませんね♪

>>通勤時、大学へ続く落ち着いた雰囲気の道中は木々が沢山あり、行き帰りにリフレッシュが出来ると人気ですよ♪

などと、意味不明なアピールコメントが並べられていますが、こんなことに釣られて応募してくるとでも思ってるのでしょうか。(苦笑)
また、期間が長期と明記されているのに、期間限定とも明記され矛盾しています。

図書館業務の中でも、洋書の目録作成は難易度の高い仕事であり、長年の経験とスキルを要します。今回は、英語だけでなく、ドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語まで含まれており、極めて難易度が高いです。スキルによっては範囲が限定されるみたいですが、この内容で時給1200円の交通費なしは、ひどすぎるでしょ!交通費も自己負担だと個人差もありますが、時給1000円程度、あるいは、それ以下になってしまうでしょう。

それと、複数の言語ができると、あれもこれもとお願いされるみたいですから、どうせ時給が同じなら、1言語しかできないと言った方がお得ですね。私だったら、そうします。

このおかしな時給設定は、ピンハネして利益の多くを会社が搾取しているか、元々利益率の低い仕事を無理やり取っているかです。

派遣契約なので、この時給の価格設定は、雇用主のキャリアパワーが決めますが、この時給にはかなり無理があります。目録業務の経験者は、業界事情に精通している方が多いので、こうした、ふざけたにも程があるような求人には手を出しません。だから、いつまで経っても人が集まらないのです。キャリアパワーの担当者がアホとしか言いようがありません。

京大も自前で募集して雇った方が手っ取り早いですよ。国立大学が、派遣を利用する手法で人材募集をすることは望ましくありません。今年に入り、東京外語大附属図書館も派遣を利用している求人が複数ありました。国立大学でも、こうした流れが続くことが懸念されます。

図書館業務を受託する民間企業は、いい加減なマネジメントやノウハウ、そして、経営体力も乏しいですから、カタギ(まともな)の人間が行く所ではありません。

今回は、こうした求人には応募してはいけないと教えてくれる、反面教師的な悪い求人事例を紹介しました。


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2016年09月08日

紀伊國屋書店の人をバカにしている大学図書館司書求人◆時給1000円程度の薄給で多大な要求

 今回は、私立大学図書館の委託業務における、民間業者の「整理・収集・マネジメント業務」に関わる求人事情に焦点を当てた記事を書いてみました。まず、私立大学図書館の委託業務の求人は、カウンターやフロアー周りの閲覧業務(貸出・返却処理、書架整理など)が圧倒的に多く、全体の約80%程度を占めます。残りの約20%は、目録・分類などの整理業務、発注・受入などの収集業務、そして、責任者(リーダー)などのマネジメント業務になります。当然、後者の方が仕事の難易度が高く、初心者(未経験者)には難しいのが実情です。ある程度の職務経験や知識が必要になり、人材確保も難しくなります。

 大学図書館の場合、各資料の専門性が高く、洋書などの外国語資料もあるため、公共図書館より業務に慣れるのに時間がかかります。また、IT化が進んでいますし、目録業務においては、国立情報学研究所(NII)が管理する、全国総合目録システム「NACISI-CAT」を利用した業務知識が必要になります。システムの仕組みや書誌・所蔵データの作成、流用、登録、他館との書誌調整などの知識を身につける必要があり、戦力になるには相応の時間が必要になります。

 私立大学図書館の委託は、競争入札ではなく、通常の営業取引の中で業者に委託するケースが多いです。そのため、契約が結ばれると、業者が人材を雇用して大学図書館へ配属させる形態となります。そして、受託業者は、大手書店のシェアが高く、通常の書籍・雑誌の取引を経由して、仕事を獲得しやすい環境であることが影響しています。

 しかし、職務経験と知識が必要で、それなりの難易度がある仕事にもかかわらず、給料においては、人をバカにしているような求人ばかりです。その一例を挙げてみます。※情報はHP掲載時のもので、すでに応募は終了しています。

[紀伊國屋書店の受託業務求人]
■豊島区西巣鴨の大正大学図書館
○仕事内容: 収書・整理業務全般 
・発注と受入
・目録/分類整理(和書、洋書、中国書、韓国書、雑誌)
・装備
○給与: 時給1000円(未経験者950円)
○契約年数: 1年(更新可)
○応募資格
・司書資格
NACSIS-CAT目録登録業務の経験
装備が得意な方
大学図書館での業務経験
○勤務時間: 週5日 9時〜17時

■関西エリア(大阪、京都、西宮)の大学図書館
○仕事内容: 関西地区の大学図書館に出向いての業務アドバイス、スタッフのマネジメント補助、スタッフ対象の図書館業務研修の企画・運営
○給与: 時給1000円
○契約年数: 1年(更新可)
○応募資格
図書館勤務経験必須
・明るく、笑顔で対応できる方
フットワークが軽く、積極的に対応できる方
・大学図書館業務のスキルアップをしたい方
・Word/Excelの操作経験必須
勤務時間、曜日の変更に対応可能な方
リーダー、研修講師などの経験があれば尚良し
外国語が堪能であれば尚良し
○勤務時間: 週5日 9時〜17時

■大阪府吹田市内の大学図書館
○仕事内容: 閲覧業務リーダー、貸出と返却、レファレンス、利用者講習会、スタッフのマネジメントと育成、業務改善の提案
○給与: 時給1300円
○契約年数: 1年(更新可)
○応募資格
大学図書館業務経験
・司書資格必須
・World、Excelの基本操作必須
接客業、マネジメント経験があれば尚良し
○勤務時間: 週5日勤務シフト制

 こうした、単純労働ではなく、キャリアが必要な業務に従事する人材に、時給1000円程度の人件費しか出せないなら、愚行と言えるでしょう。この程度まで人件費を削らなくては、会社の利益が確保できないなら、ビジネスとして体裁を成していないわけです。そんな利益に結び付かない商売をしている事こそ問題があります。それでも続けざるを得ないなら、単なる延命措置であり、成長性のない業界(会社)だと見るべきでしょう。

 応募を検討している方やこうした環境で働いている人も、業界事情を認識する必要があります。それでも飛び込む価値があるのか、または、別の道に進むのかは個人の判断に委ねるしかありませんが、惰性でダラダラと続けることは避けるべきでしょう。

 結局のところ、図書館で安定的に勤務するには、自治体公務員や国立大学職員として、正規採用されて勤務するしかないのです。自分のキャリアや知識を、こうしたポンコツ求人に翻弄されるのは、実にもったいないことです。また近年は、一般事務職の採用数が増加している自治体が多いので、そうした方向を目指すのも選択肢の一つです。司書職制度はありませんが、東京特別区(23区)の採用者数は、ここ数年、800人を超える大盤振る舞いな状況です。

 一時的には仕方ないにしても、今回紹介した求人のような環境で、自分のキャリアや才能を潰すことがないようにして欲しいと思います。


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2016年07月04日

東京都立(中央・多摩)図書館の業務委託は、施設/ビル管理,清掃,警備,物流などの業者に任せている実態

 東京都立図書館は、港区にある中央図書館と立川市にある多摩図書館(2017年1月に国分寺市へ移転予定)の2館があり、公共図書館の代表格ともいえる大規模図書館です。全国公共図書館協議会の事務局もおかれ、公共図書館のリーダー的存在でもあります。東京都は自治体として司書職制度があり、専任司書の方も両図書館に配属され業務を担っています。ここ数年、正規の新規採用も安定的に行われ、将来の運営を担う若手職員の確保が順調です。
 しかし、ご多分に漏れず、閲覧業務や整理業務の委託化が進んでいるのも事実で、どういう業者が受託しているのか気になって調べてみました。
 都立図書館の業務委託は、希望制指名競争入札という、公示をして、希望のあった入札参加有資格者(業者)の中から入札を行う方式です。その中で入札金額が一番安い業者が落札して受託します。指定管理者契約のような厳しい審査はなく、参加障壁が低いシステムです。ひいては、ノウハウと実績のない、図書館とは無縁な企業も仕事を獲得してしまう危うさがあります。以下は、東京都の入札情報サービスシステムの検索結果を基に、2016年度、都立図書館の各業務委託の落札結果をまとめたものです。

【閲覧業務】
○中央図書館資料出納業務
・落札者氏名 オーディーエー株式会社
・落札金額 145,735,200円
▼入札者氏名、入札金額
1 オーディーエー(株) 134,940,000円
2 マンパワーグループ(株) 136,480,000円
3 彩の国協同組合 136,997,800円
4(株)図書館流通センター 139,420,350円
5 日建総業(株) 190,000,000円

●オーディーエー株式会社 神奈川県横浜市、東京都大田区
・スポーツ施設運営管理(プール管理、水泳教室、スポーツ教室、ヨガ、フラダンス、スタジオ運営、イベント運営)
・ビル管理メンテナンス(警備、清掃、駐車場)
・ビューティー事業(ネイルサロン)
・特定労働者派遣(指導員・作業員・図書・一般事務等の派遣)

以降、他の業務は落札業者だけを記載します。

○多摩図書館資料出納業務
オーディーエー株式会社 神奈川県横浜市、東京都大田区
※落札後辞退

○都立図書館協力貸出業務
株式会社環境テクノ 神奈川県横須賀市
ホームページなし
・上下水道施設の運転維持管理
・一般産業廃棄物施設の運転維持管理
・汚水処理施設の運転維持管理

【整理業務・受入、書誌作成、装備など】
○都立図書館受入装備業務
オーディーエー株式会社

○都立図書館整理業務(書誌作成、修正)
ロジスティック・プランニング・スタッフサービス株式会社 東京都千代田区
・物流システムの設計、コンサルタント、業務請負、自動車運送取扱

○都立図書館逐次刊行物整理業務
社会福祉法人埼玉福祉会 埼玉県新座市
・福祉事業、図書館用品販売

○都立図書館洋書収集整理関連業務
日本データベース開発株式会社 東京都豊島区
・システム開発事業、コンテンツ事業

ざっと、こんな感じです。埼玉福祉会と日本データベース開発は、これまで各所で図書館業務の受託実績がありますが、それ以外は異業種です。スポーツ施設管理、ビル管理、清掃、物流業って、どうやって図書館業務のノウハウや知識を得るんですかね?

これ以外に、落選した業者も含めた入札参加業者について、検索結果を基に業種別に分けしてみました。

◆図書館関連業<取次、図書館用品販売、製本、データ作成など>
・図書館流通センター/TRC
・埼玉福祉会
・日本データベース開発
・マイトベーシックサービス
・ナカバヤシ

◆施設管理、清掃、警備、害虫駆除
・オーディーエー
・光管財
・新さくら会協同組合
・彩の国協同組合
・フィット協同組合

◆上下水道施設管理、産業廃棄物施設管理
・環境テクノ

◆公園、道路管理、上下水道施設管理、産業廃棄物施設管理
・日建総業

◆物流
・ロジスティック・プランニング・スタッフサービス
・日本通運

◆人材派遣業、アウトソーシング業
・ケー・デー・シー
・ヒューマントラスト
・マンパワーグループ

 圧等的に異業種が多い。こんなのに任せて大丈夫なの?こうした、厳しい審査がなく、入札金額だけで決まるハードルが低いシステムは、ノウハウで勝負できない他業種、素人業者の格好のターゲットになるのです。公的機関の仕事は、人件費さえ削減すれば、ある程度の収益が確実に見込めるので、業者としては何としても獲得したいのです。
 更に業者というものは、閲覧の仕事は素人でもできると考えている節があり、人さえ集めれば、後は現場にお任せというスタンスでやっています。公益性への貢献より、楽して稼げる美味しい仕事と捉えているのです。自治体も、こうした経費削減だけを目的にした委託ばかりしていると、民間業者のカモになるだけです。
 もちろん、司書などの現場の担当者が、こうした委託化に賛同しているわけではなく、権限を持つ議会、財務局、教育委員会などが主導して進めます。こうした部署の人間は、図書館業界の事情に疎いのです。にわかに覚え込んだ、付焼刃的な知識とノウハウだけで受託する業者の実態を知らないから、こうした安直な入札システムだけで業者を選定してしまう現実があります。
 以前、都立高校図書室の業務委託に関して、今回と同様の内容を書きましたが、都立図書館でも実態は同じであることがわかりました。改めて、業務委託を考え直すことが必要でしょう。



[補足]
●東京都入札情報サービスの使い方(※スマホ対応をしていません。表示されますが、PCの方が操作がスムーズにできます。)
https://www.e-procurement.metro.tokyo.jp/indexPbi.jsp
1. メニューの入札(見積)経過情報を選ぶ
2. 必須条件の「物品等」にチェックを入れる
・右にある「営業種目の一覧表」をクリック
・営業種目の選択画面で左の枠にある「+委託・その他」を選ぶ
・「+190その他の業務委託」⇒「13図書等整理業務」を選択
・中央にある「選択>>」をクリックすると右枠に項目が表示される
・下にある「選択」をクリック
3. 必須条件の「開札(見積)日別選択」全てにチェックを入れる
4. 一番下にある「検索」をクリック
5. 検索結果が表示されます


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2016年07月03日

茨城県守谷市立中央図書館の館長や職員の退職相次ぐ異常事態-指定管理者の図書館流通センター(TRC)の混乱ぶり

茨城新聞・2016年7月2日の記事に、守谷中央図書館の現場での混乱が書かれていました。以下、記事を引用します。

◆守谷中央図書館・館長や職員の退職相次ぐ:指定管理者4月導入後・市議会が改善要求
 4月から指定管理者制度を導入した守谷市の守谷中央図書館で、館長や職員の退職が相次いだことが1日、明らかになった。職員は順次補充し、館長は代理を置いた上で8月に配置する予定という。守谷市議会は同日、総務教育常任委員会を開き、指定管理者の責任者から説明を求めるとともに改善を要求。図書館流通センターの石井昭社長は「われわれの図書館運営の中で、(以前からの職員との)人間関係が薄く、コミュニケーション不足があった」と陳謝し、改善する考えを示した。
 同図書館では、制度導入以降、4月に就任した新館長の男性が、6月5日付で退職したほか、職員も6月末までに5人が退職。職員の負担増大が不安視されていた。常任委では理由として、新体制でのコミュニケーション不足や説明不足が挙げられた。同センターは職員を順次補充し、館長代理を配置。7月から職員を新たに5人増員。8月には新たな館長が就任予定という。
 委員会で石井昭社長は、「現在の状況について、責任者としておわび申し上げる」と陳謝。出席した市議からは「(指定管理者制度は)何年もかけて導入した。2、3カ月でこういう問題が出るのは残念。早く解消してほしい」「今までのスタッフ・ボランティアに対する説明不足感が否めない。説明する時間を設けてもらいたい」などの意見が出され、石井社長は「社を挙げて努力したい」と応じた。林正樹館長代理は「スタッフの意思疎通やスキルアップをしっかりやりたい」と話した。

こういう話は、指定管理館だけでなく、委託でもよくある話です。珍しい話ではありません。そもそも、会社として器量がないのに仕事を受託しているから、こういう結果になるのです。社長が言っている、「社を挙げて努力したい」は、所詮、実行の伴わない空言である。

自治体も、こうしたリスクを覚悟の上で任せているのだから、多少の責任はある。そもそも、自分たちが直営を放棄している結果として生じた事態なのだから、議員の方も、あまり上から目線にならない方がよろしいのではないかと。

こうした背景について、過去にも記事で書きましたので、未読の方は、よろしければ一読ください。




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2016年06月07日

委託・指定管理図書館の管理責任者を安い労働力に頼る傲慢ビジネス-図書館流通センター(TRC),紀伊國屋書店,丸善雄松堂の司書求人事例

 公共図書館や大学図書館と民間業者との間で、委託や指定管理者の契約が結ばれると、受託した業者は、図書館運営を任されることになり、社員スタッフが配属される。スタッフ全員が契約社員やパート・アルバイトなどの非正規雇用である場合が圧倒的に多く、リーダーといった現場の管理責任者ですら、1年契約更新の雇用形態が当たり前だったりする。
 現在、民間業者の受託状況を俯瞰すると、図書館流通センター(TRC)、紀伊國屋書店、丸善雄松堂が御三家となっており、他社がそれを追随する形になっている。民間企業だから、各社の経営・財務状況、人事制度、得意分野、過去の実績は様々であるが、給料などの待遇や福利厚生は似たり寄ったりである。
 今回は、こうした図書館業務の受託ビジネスと現場リーダーと呼ばれる、受託図書館での現場管理責任者の境遇について書いてみる。

1. 現場責任者の待遇の実態
 下記は、図書館流通センター(TRC)、紀伊國屋書店、丸善雄松堂のHPで募集されている、現場管理責任者(リーダー)求人の事例を簡単にまとめてみた。※各社HPの採用ページより一部抜粋 [2016.6.6現在]

【図書館流通センター(TRC)】
○首都圏内弊社受託館責任者
・管理職やチームリーダー経験者で、豊富な図書館勤務経験と高度な図書館サービススキルをお持ちの方。
・仕事内容は図書館業務全般ですが、スタッフマネジメントなども含めた責任者業務をお任せします。
・面談による合意の上、2017年3月31日までの期間を原則として更新可。以後、同様に1年間を基本とした契約で更新可。
・月給: 司書資格あり/220000円〜、司書資格なし/215000円〜。
・採用日から2ヶ月間の給与は、司書資格あり/時給1374円、司書資格なし/時給1344円。

【紀伊國屋書店】
○公共図書館の管理者大募集。都内にある公共図書館での管理者業務をお願いします。業務責任者、リーダーなどマネジメントできる方、経験を活かして、ステップアップやキャリアアップしたい方、あなたの目指す図書館を一緒に作りませんか!
・月給制社員への登用あり
・1年契約・更新可
・時給1100円から(経験役割で応相談)
・社会保険完備、交通費実費支給(上限1000円/日)

【丸善雄松堂】
○公共図書館マネジメントスタッフ、責任者。図書館業務全般、庶務業務、スタッフマネジメント等。
※試用期間後、契約社員昇格試験があります。
・月給18万円(試用期間中は時給1050円)
・交通費支給(上限20000円/月)

まあ、責任者の割には、非常にテンション、モチベーションが下がるショボイ内容で、賞与(ボーナス)、退職金の記載すらない。こんな求人に応募するのはNGだと思う。

2. 現場責任者の業務内容
実際に、どこの業者であれ、リーダーである現場責任者の業務内容は、ほぼ同じである。具体的には、次のようなものである。

・全ての業務の把握
・スタッフの勤怠管理、ローテーション作成、業務指示、指導・教育、相談受付
・欠員時の代理出勤
・委託元図書館への連絡、調整、折衝
・所属会社の営業担当者への業務報告、連絡
・定例会議への出席と業務報告
・報告書、各種資料作成
・スタッフミーティングの企画と進行
・現状の問題点の確認と改善
・会計処理
・緊急事項やトラブルへの対応
・仕様書以外の発生業務への対応と連絡
・新たなサービス向上のための考案や企画立案
・自己啓発のための勉強

3. 待ち受ける現実
 各業者や受託図書館の契約内容、事情にもよるが、上記業務の半分以上は、やると思った方がよい。もはや、自治体や国立大学の正職員と同レベルの業務内容だ。これを、単年契約の非正規雇用の立場で、人、物、金、情報の管理を統括し責任を負うだから、たまったものではない。業務上のトラブルも起きるだろうし、仕様書にない事も発生するだろう。スタッフのレベルも様々であり、一から指導しなくてはならない負担が生じることもある。また、短期間でスタッフの出入りが激しい現場もある。業務内容に全く見合っていない待遇なのだ。
 これを、時給だの、20万前後の給料でやらされるのだから、労働に対する意欲など高まらない。雇用形態や人件費を極限まで下げたステージからスタートさせ、丸善のように契約社員になるのですら昇格試験があるとは、バカげた話である。給料から社会保険料などが引かれるわけだから、手取りは15万〜20万辺りだろう。生活保護給付の水準に近い金額で責任者の仕事をさせられ、単年契約で常に解雇の不安もつきまとう。まさに、コスパが悪い求人そのものである。
 キャリアを積み上げても、正社員へのハードルは高く、「正社員登用あり」と掲げていても、それは会社の釣りである。大多数は、契約社員止まりが常である。昇給も20万円台前半までが関の山。ボーナスも退職金もない。

4. 利益率が低く、市場規模と将来性が厳しい業界
 問題の根は深い所にある。こうした、責任者ですら安いギャラで雇用しなければならないのは、書店や取次、図書館関連製品販売を商いとする市場の脆弱さと利益の薄さに根源がある。ビジネスとしての利益が低いため、会社の経営基盤も脆弱で小企業、零細企業ばかりだ。将来的な市場も先細りで、新たに発掘できる市場の余地がない。
 図書館の仕事を受託するのは、他に開拓できるビジネスがなく、これまでの付き合いを脈として参入しているだけの理由に過ぎない。とは言っても、図書館業務受託のビジネスも、落札額や指定管理料の限定された範囲でしか利益を出せず、プラスαとしての入館料を取ることができないわけだから、真のビジネスとは言えない。稼げない市場で競合他社と仕事を奪い合い、不完全なノウハウと人材不足の状態で受託し、最低ラインギリギリの人件費で最大の効果を出そうとする。これが現実である。
 飲食、流通、アパレル業界なども人材不足が深刻だが、人材確保のために時給アップや正社員化が進みつつある。図書館業界は、そうした動きは皆無である。そういう努力すらできない。

5. 責任者の待遇改善は至極当然。それができなければ、足を洗ってビジネスから撤退するべき。
 このように、生活基盤が成り立たないような給料で責任を押し付けられる仕事をすると、精神的にも、経済的にも、いつか限界が生じるだろう。委託や指定管理は1〜3年程度の契約が多く、更新ができない場合、次の仕事を確保できる保証はないし、会社が不測の事態に対処してくれるとは限らない。まさに、クビの皮一枚でつながっている。
 どこの民間業者も、人材を採用するだけで、テキトーで薄っぺらな内容の研修か、それすらせずに現場へ送り込む。そして、後はお任せしますよと放置しておくだけの、人を右から左へ流すだけで利益を得ている。そうなると、現場の責任者は、全てをコントロールしなくてはならない。これは、非常に酷な事だ。一刻も早い待遇改善が求められるし、それが無理なら、もう見向きもされないだろう。


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2016年04月19日

東京都立高校・学校図書館(室)業務委託のおぞましい実態●豊洲市場移転問題だけでなく、こうした分野も注目して欲しい!

■現在、都立高校の学校図書室は、ビル管理,警備,清掃業者が受託して学校司書を求人募集する異常事態

 当ブログで初めて学校図書館の話題に触れます。ブログの主旨とズレますが、ご了承ください。発端は、図書館司書求人サイト「図書館ジョブ」で不審な求人を見つけた事です。それは、都立高等学校図書館業務委託の求人です。都立高校も委託化が進んでいるようですが、その受託業者を見て唖然としました。

▼その求人がこれです! ※一部省略しています。平成28年4月18日現在
≪急募≫多摩地区/都立高校図書館/司書・司書補有資格者
光管財株式会社です。当社は都立高等学校図書館管理業務を受託している会社です。
○勤務地: 日野市・国立市・小平市・小金井市・田無市・西東京市・東久留米市
○業務内容: 貸出返却・レファレンス・選書・装備と多岐にわたります。
○待遇: パートスタッフ※年度更新有
○給与: 時給920円(適時見直し有り)※交通費一日上限500円
○資格・経験: 司書・司書補の有資格者 ※公立図書館の勤務経験者
○就業時間: 8:00-22:00(シフト制)
○勤務開始日: 即日勤務スタート
【情報源】図書館ジョブ http://lib.job1st.net/tokyo/20280/

受託業者の名前が「光管財」と書かれているので、いかにも図書館とは縁のなさそうな感じ。調べると、東京都足立区にある会社のようで、建物の清掃・設備管理、警備、害虫駆除、造園をメインに人材派遣業や学校用務にも手を広げている会社とわかりました。http://hikal.co.jp/service.php

 これは、ひょっとしたら、他の都立高校の図書館業務も、こうした図書館に無縁な業者が落札しているのかもしれないと思い、東京都がウェブ提供している「東京都入札情報サービス」で調べてみることにしました。(URLと検索方法は記事の最後に書いております)

 都立高校の業務委託は、ネット上で行う電子入札で行い、一番安い価格で入札した業者が落札する「希望制指名競争入札」で行われます。事前に会社情報の登録や経営状態、プライバシーマークを取得しているか等、いくつかの基準があり、それらを満たせば申請できます。とは言っても、まともな企業ならクリアできる基準です。入札価格だけで決まるので、指定管理者のような厳しい選考基準や評価の土俵に上がることはなく、素人業者でも仕事を獲得できる可能性があるのです。

 そして、検索して見ると、驚くべき実態の発見がありました。その落札情報の検索結果の一例が以下の通りです。注目したのは、落札(受託)業者です。平成28年4月18日時点の検索結果であり、全ての都立高校が該当するわけではありません。また、一定期間が過ぎると表示されなくなるので、ご承知おきください。なお、主要な情報のみを書きます。

■落札者情報
契約部署: 財務局経理部契約第二課
開札日時: 平成28年2月24日
件名: 都立一橋高等学校外10図書館管理業務委託
落札金額: 53,895,473円
落札者氏名: 株式会社エースシステム

>>都立一橋高校の他10校(※他の10校がどこかは、わかりません)の図書館業務委託を落札したのは、(株)エースシステムという業者。ネットで調べると、東京都足立区にある会社で、複数の求人情報がちらほら見つかりますが、ホームページが存在しません。何とか断片的に調べた結果、建物・ボイラー・浄化槽・貯水槽清掃 、電気・暖冷房等設備保守、警備、害虫駆除がメイン業務のようです。

そして、他にも複数の検索結果が出ました。以下、高校名と落札業者のみ記載します。

都立江北高等学校外10校
落札者氏名: 株式会社クリーン工房 http://www.cleankobo.co.jp/guide.html
>>この会社は、ビルメンテナンス(管理、清掃、警備)業がメインのようで、様々なアウトソーシング業にも手を出しています。本社はさいたま市にあります。

◆晴海総合高等学校外10校
落札者氏名: 株式会社エースシステム
>>先程と同じ会社です。

◆大崎高等学校外10校
落札者氏名: 株式会社秀光
>>この会社は東京都葛飾区にあり、ビル管理、清掃 、警備がメイン業務のようですが、ホームページは存在しません。

◆戸山高等学校外10校
落札者氏名: 株式会社ケー・デー・シー https://www.kdc.co.jp/
>>システムや情報サービスをメインにアウトソーシング業も行っており、都内の図書館業務受託の実績があります。しかし、薄給な求人ばかりです。

◆練馬高等学校外10校
落札者氏名: 株式会社ケー・デー・シー
>>同上

◆富士森高等学校外10校
落札者氏名: 株式会社バックスグループ http://www.backs.co.jp/
>>販売員の派遣業をメインに、近年は日本年金機構委託の国民年金保険料収納事業の業務を行っています。

◆片倉高等学校外10校
落札者氏名: 光管財株式会社
>>冒頭で紹介した会社です

◆日野台高等学校外10校
落札者氏名: 光管財株式会社
>>同上

落札はできませんでしたが、この他にも、以下の業者が参加していました。
・日建総業株式会社(製造業派遣)
・株式会社サービスエース(ビル管理、清掃)
・株式会社アイビーメンテナンスビル管理、清掃
・株式会社エイト(ビル管理、不動産)

 酷いの一言。ビル管理、警備、清掃業者ばかり。何なのこれ?これらの業者は、図書館運営のノウハウなど微塵もなく、人材を現場へ垂れ流すだけで利益を得ようとしているわけだ。つまり、虚業でタチが悪いにも程がある。東京都も舐められたもので、入札方法にも問題がある。民間業者が能力もないのに手を広げ、税金を財源とする公的な仕事を貪ることは許されない。
 また、応募者側もよく考えてもらいたい。業者の事をろくに調べず応募することは、ノー天気な行動です。当分の間、都立高校図書館の求人への応募は控えた方が無難である。

[補足]
●東京都入札情報サービスの使い方(※スマホ対応をしていません。表示されますが、PCの方が操作がスムーズにできます。)
https://www.e-procurement.metro.tokyo.jp/indexPbi.jsp
1. メニューの入札(見積)経過情報を選ぶ
2. 必須条件の「物品等」にチェックを入れる
右にある「営業種目の一覧表」をクリック
営業種目の選択画面で左の枠にある「+委託・その他」を選ぶ
「+190その他の業務委託」⇒「13図書等整理業務」を選択
中央にある「選択>>」をクリックすると右枠に項目が表示される
下にある「選択」をクリック
3. 必須条件の「開札(見積)日別選択」全てにチェックを入れる
4. 一番下にある「検索」をクリック
5. 検索結果が表示されます

【過去の類似記事】


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2016年03月21日

市長や議員が指定管理者制度や委託を推し進める裏事情

3月21日(日)に、全国で3番目となるCCC(カルチュアコンビニエンスクラブ)運営のツタヤ図書館が、宮城県多賀城市立図書館としてオープンしました。武雄市立図書館や海老名市立図書館での問題点を改善し、分類や商業エリアの配置などを考慮した造りになっているそうです。こうした指定管理者制度や委託制度といった、外部の民間業者に運営を任せる公共図書館が年々増加していることは、既にご存じの事だと思います。また、大学図書館も例外なく、委託制度を導入することが当たり前になっています。受託する民間業者のことは、これまで当ブログでも散々書いてきましたが、今回は指定管理や委託が進む背景について書いてみたいと思います。

○市長や議員が独断で決めて進めるケースが多い
こうした話しの発端は、市長や議員が発案して進めて行くことが非常に多く、現場の司書や役所の事務官が発案する事は、ほとんどありません。公共事業や政策を発案することは、市長や議員の仕事の一つでありますから、何ら否定することはありません。しかし、物事には表の事情と裏の事情があるわけで、背景には、選挙の票集め、業者や有権者との癒着といった、きな臭い事情もあるのです。建前では住民のためだと理論的なことを言っていても、裏では、私利私欲な政策ではないかと疑いたくなる事例もあります。

○パブリックコメント(市民意見募集)で住民の意見を聞かないし、業者の事もきちんと調査していない
発案すること事態は問題ありませんが、本来は現場職員や住民の意見も十分に聞き、それらを統合しながら調整して結論を出すのが筋でしょう。ところが、ツタヤを採用した自治体の長は、独断で話を進めてしまっていますし、他の自治体で民間委託を採用する際も、多くは似たり寄ったりな状況です。これまでのツタヤの運営手腕やサービスに一目惚れして、図書館運営ができる本当の実力があるのかを精査せずに決めてしまったから、いろいろと問題が起こるのです。

○業者や館長の選定は出来レースになっている。公募すら行わないケースもある。
業者を決める際も、委託館の館長を決める際も、公平な競争や審査をせずに決めることも多いのです。形式的には入札や審査(書類、プレゼン)を実施していても、予め業者を選定していたり、地元の企業や自治体が株式を保有する企業を優先することも、裏では当たり前のように行われている自治体があります。公募すら行わなず、自治体が出資している会社を指名するケースすらあるのです。また、委託館の館長も、本来は受託する業者が採用することがルールなのに、自治体が推薦して業者に紹介するケースが行われています。これは、まずいでしょ。

○条例で例外規定をつくる裏ワザ
指名したい特定の業者がある場合、条例の中で例外規定を設けるケースもあります。「公募によるが、次のいずれかに該当する場合はこの限りではない」などと都合の良い例外規定を用意して、「事業の運営実績と継続性があり、市の施策が反映しやすい場合」「合理的な理由がある場合」「時間的な余裕がない場合」などの項目を設けます。

○市長や議員は襟を正して、公正公平な対応と判断をするべき
特別職の公務員が、民意を無視して独断で物事を進めることは、悪意以外の何物でもありません。意見を聞く時点で、既に話の骨格が出来上がってしまっているのは駄目なのです。市長や議員の好みや私利私欲のために、権限を乱用して公共事業や政策を進めることは、許されるべき事ではないのです。

▼ジャーナリスト・日向咲嗣氏の多賀城市立図書館に関する記事が参考になります(Bisiness Journal 2016.2.6)

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2016年02月08日

派遣時給のカラクリ-仕事内容に見合わない事があるので要注意! キャリアパワー(株)の大学図書館司書求人の事例

 今回は派遣の時給の話をします。詳しい方もいると思いますが、わからない方向けに書きます。
 派遣の場合、時給が約1400円前後の高めに設定されている事が多い。図書館業界の時給としては高いのだが、これにはカラクリがある。よく見ると、交通費支給に関する事項が書かれていない。
 つまり、時給から交通費分は自己負担しなくてはならない。徒歩や自転車で通える人は高時給となるが、そういう人は少ない。都心の大学ならば、1時間〜2時間かけて通勤する人が圧倒的に多い。1ヶ月の定期代だと10000円以上になることは珍しくない。
 そうなると個人差もあるが、時給がマイナス100円以上の損失になってしまう。これで、難易度が高い業務をやらされては、たまったものではない。そんな事例を見つけたのが、以下のキャリアパワー(株)の派遣求人である。

キャリアパワー(株) 東京・白山の大学図書館の目録業務
○仕事内容
図書データの入力
○対象となる方
目録がオリジナルで作成できる方
・和古書、英語と多言語(ドイツ・フランス・イタリア・スペイン・ラテン語等)の目録ができる方
・浮世絵・地図・巻物等から目録が取れる方
・帙(古書を入れる箱)作成、貴重資料の箱作成ができる方
○時給1400円 ※交通費支給の記載なし
※リクナビ派遣より一部抜粋 2016年2月8日現在

 この仕事内容は、時給1400円で交通費自己負担の仕事ではない。和古書と多言語を扱うにしては安すぎる。時給1400円だと、交通費を負担すれば1200円台になるだろうし、遠方の人だと1100円台になりそうだ。イタリア語だのスペイン語だのラテン語だの、更には浮世絵とか言っている。そもそも、ラテン語ができる人なんて、どんだけいるのかい?
 派遣の場合は、時給、交通費の有無、実際の交通費、仕事内容をきちんと精査して応募しなくてはいけないのである。高待遇と謳っているが、騙されないように!

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2016年01月12日

図書館委託業務を受託する民間業者の内情と実態-図書館運営ノウハウは、ウソ八百で虚業そのもの

 昨年は、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理運営するツタヤ図書館、すなわち、武雄市立図書館と海老名市立図書館の選書問題を発端に図書館の外部委託・指定者管理制度について、多くのニュースや議論がネット上を賑わせました。昨年に限らず、何年も前から公共・大学図書館の外部委託の是非に関する議論は活発に行われています。
 しかし、受託する民間企業についての詳細な情報については、ほとんど見かけません。これは、実際に会社組織にいた者でなければ、真実はわからないものであり、深い闇の中にあります。今回は、かつて私自身が見てきたことや経験したこと、知人や元同僚からヒアリングした事実を統合して書きたいと思います。

●運営ノウハウや実績がゼロからでも始められる業界
 どの業者も、自ら図書館を所有しているわけではないのだから、最初から「ノウハウがあります」と言っていること事態がおかしなことだ。10年以上、相当数の図書館業務を受託し続けて、ようやくアピールができるのではないだろうか。そんな業者は微々たる数しかない。いや、その微々たる業者ですら本当のところ怪しい。
 ここ10年で、図書館業界に参入している会社は増加した。皆、「ど素人」ばかりである。初期投資が少なく済み、審査などないから、業界への参入障壁が極めて低い。そのせいか、畑違いの業界からの参入が多くなった。委託側は、これまでの営業的な付き合い、書類やプレゼン、入札価格などの方法で契約可否の判断をするので、業者の社内に立ち入ってチェックすることはしない。基本的に性善説が前提になっている。契約が裏では出来レースになっていることすらある。ノウハウや実績がなくても、安い賃金で経験豊富な労働者を雇うことで成り立つ愚行ビジネスである。
 だが、契約書や会社ホームページに書かれている実績や能力は、誇大な表現や事実と矛盾する内容も含まれていることが多い。専門スタッフが不足しているのに、経験豊富なスタッフが多数と書かれていたり、多くの受託実績が書かれていても、実際は全て数カ月程度の契約で終わったもの、充実した研修制度があると求人に書いてあるのに実施していない、等々。他にも挙げたら枚挙にいとまがない。実績がゼロなら、ウソの実績を書く業者もある。信じられないと思うが、本当なのである。委託側が、いちいちそこまで事実確認などしないから、やりたい放題である。
 本当のところ、業者のレベルはピンからキリまである。ピンの業者は、それなりに契約を獲得できる手腕があり、安定的に契約を取れるが、キリの業者は、入札価格だけで決まる案件に目を付け、尋常ではない低価格で勝負する。新規参入業者の中には、自ら契約を獲得できる実力と実績がないので、大手で経験豊富な紀伊國屋書店や丸善と提携することで生き延びていく選択をしている業者もある。

●社員研修をせず、有能な人材を非正規雇用で安く使い回す異常な業界
 業者が抱えるスタッフの多くは、非正規雇用の社員である。図書館との折衝やスタッフ管理をするリーダークラスでも、契約社員のケースが多い。スタッフのレベルはまちまちだが、経験者は過去に公共・大学・専門図書館などで直接雇用された者も多く、閲覧、レファレンス、目録等の専門性の高い業務経験を積んでいる。会社は、そうした人たちであれば、即戦力で研修する手間がなく好都合だ。他方、未経験者や経験が浅いスタッフに対しては、当然、業務に関する研修をしなければならない。だが、研修ノウハウや予算がなく、全く行っていない業者も多い。
 そこで、OJTという職場で実務をさせながら研修の代替とする手法を使う。要は現場丸投げである。本来は、研修体制を整えていなければいけないはずである。研修ができないと言うことは、未経験者は採用しにくい環境となる。そうなると、即戦力となる経験者を募集するのだが、簡単には集まらない。以前は、待遇よりも図書館で働ければ良いという、やりがいで応募する者も多かったが、自らの経験や情報が入手しやすい環境になったことで、飲食業界同様に人材が集まりにくくなっている。特に経験者にその傾向がみられる。
 そこには、採用されても厳しい現実問題があるからだ。10年以上の経験者で知識が豊富だったり、語学やIT能力に極めて優れているような即戦力人材でも、非正規雇用で雇われ続け、正規雇用への道も簡単に開かれないということである。契約期間は、3ヶ月、6ヶ月、1年といった短期契約を繰り返す形態である。これは、仕事が切れた場合の会社側のリストラ対策である。求められるスキルは、それなりに高い要求も多く、給料とスキルがマッチしないケースなんて、ざらに存在する。
 裏を返せば、能力のある人材に対しても、まともな給料や安定した雇用を提供できないビジネスなのだ。本当は有能な人材を多く確保できることがキーポイントなのだが、その実現には程遠い。

●契約が締結されてから、慌ててスタッフの確保に走る自転車操業
 ホームページに経験豊富なスタッフ多数と書かれていたら、ウソだと思った方がいい。業務の幅が利くスタッフを、いつでも社内に常駐させている業者はないだろう。どの業者も人材不足である。どちらかというと、応募してくるのは未経験者の方が多い。だが、経験者しかできない業務だったり、研修できる体制がないならば、お断りするしかなくなる。
 業界の幅を利かせている、図書館流通センター(TRC)、丸善、キャリアパワー、日本アスペクトコア、ナカバヤシ/ウーマンスタッフなどは、それなりの受託契約数を確保しているが、求人募集ページを見てみると、同じ求人案件がいつまでも掲載されていたり、繰り返し掲載される求人が多数ある。これは人材が「集まらない/集められていない」証拠である。
 こうなると、スキル不足や経験の浅いスタッフに担当させるしかなくなる。しかし、いればまだマシだ。ひどい例だと、カウンタースタッフが集まらず、営業の正社員が担当したケースを見たことがある。当然、経験や知識がないので現場は混乱し、図書館側は難色を示した。もっとひどい例だと、契約そのものを破棄した事例もある。

●図書館の仕事に興味のない営業担当者
 会社と現場の間に溝ができるケースも多い。営業担当者は総合職の正社員で採用されているので、当然、専門知識はない。これは仕方ないことである。任務としては、図書館との交渉・折衝、スタッフの総合的な管理、問題発生時の対応などである。だが、図書館の仕事に興味・関心がない担当者が結構多い。こうなると、できるだけ面倒なことは避け、必要最低限の対応しかしなくなる。それすらしない者もいる。現場からの電話に応じなかったり、さっさと転職や自己都合退職した者も何人か見た。会社組織そのものや責任的立場にある者に図書館の知識がなく、対応や学習さえしない不思議な業界である。

●図書館ビジネスは、利益を出しにくい薄利なジリ貧ビジネス : 参入する本当の目的は本業の促進と補填である
 今の時代、書店、取次、図書館事務用品販売業、製本業は崖っぷちの状態である。本業の業績が低調で、新たなビジネスモデルを構築しなくてはならない厳しい内情がある。そこで、図書館の仕事を受託することで、書籍や雑誌、事務用品、製本などを売り込むための手段としてのきっかけと相乗効果を狙っている。営業的な繋がりを強化したい思惑だ。利用者のための図書館運営の一端を担うことは、二の次なのだ。民間企業が住民や教員・学生のために利益も出せない業務に汗を流すなんてありえないだろう。

●図書館業務を請け負う民間業者は虚業である
・プロの集団ではない
・受託できるレベルに達していない素人業者が多い
・利益を多く出すために、器量を超える業務を請け負う傾向がある
・社員スタッフのレベルはバラバラ
・研修などしていない。していても、浅い内容である。
・人材確保に苦労している
・HPや図書館総合展で自画自賛的に宣伝していても、現実は運営が上手くいっていないことも多々ある。

 委託や指定管理者制度は、他人に業務を任せるわけである。そこには、見えにくい背景や実情が多くある。そして、業者にとっての図書館もまた他人である。利益が出なければ撤退するだけである。委託や指定管理者制度は直営よりも難しい面が多く、リスクも大きいのだ。今後の動向を、これからも注視していきたいと思う。


posted by パピルス at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 委託・派遣・指定管理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月24日

大学図書館業界に派遣会社が押し寄せている - キャリアパワー、ウーマンスタッフ、スタッフサービス、アデコ、テンプスタッフ、マンパワーグループ、ヒューマンリソシア

 近年、私立大学の図書館を中心に派遣人材を活用する事例が増えている。派遣会社が図書館業務に参入してきたことも影響しているが、専門職の育成がしにくい私立大学では、即戦力となる人材を獲得するには好都合なのである。だが、労働者として派遣の立場で図書館に勤務することは、今後、多くのデメリットに直面することになる。既に平成27年9月30日に改正労働者派遣法が施行された。個人が同じ職場で勤務できる上限は3年までとなった。それ以降は、その職場への正規雇用での受け入れを希望することもできるが、採用側は努力義務なので、実現は極めて厳しいだろう。そうなると、派遣会社が新たな派遣先を提供するか、派遣会社に直接雇用されるかの可能性が残されるが、上手く話がまとまるかは不透明である。
 また、派遣会社には、業務に関する研修が義務付けられた。しかし、図書館業務の研修ができる能力や知識を持った派遣会社などあるのだろうか?どうせ、素人でも作れるような簡単なマニュアルを作成して、さらっと研修を済ませるだけだろう。そこから実務に活かせる材料など見つかるわけもない。
 現状では、キャリアパワーやナカバヤシ系のウーマンスタッフは、既に図書館界に浸透してきた感があるが、その他の派遣会社は、まだ途上段階と言える。新たに、スタッフサービス、アデコ、テンプスタッフ、マンパワーグループ、ヒューマンリソシアなどの会社が参入してきている。はっきり言ってしまえば、派遣会社とは所詮、必要な時に人材を集め仲介するだけの、人のふんどしで相撲をとる商売なのである。人を流すだけで、何の付加価値を生まない代名詞だ。最大の目的は、仲介手数料で儲けること。そこには、人材の教育・育成という視点など微塵もないし、図書館の仕事を理解している派遣会社など皆無だろう。依頼側となる大学も、その辺の事情を知っておかないといけないと思う。派遣や委託に任せれば、有能な人材が集まると思っているのは、大間違いである。

posted by パピルス at 08:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 委託・派遣・指定管理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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